シーツを泳ぐ幸せ

 朝目が覚めて、幸せだと感じる。そんな時が訪れるなんて思ってなかった。暖かい陽射しに、腕の中の温もり。絵に書いたような幸せの瞬間だ。

「ウタカタ様……?」
「起きたか」

 ホタルの白い肌が、太陽の光に反射する。親指でそっと頬をなぞれば、くすぐったそうに目を細めて笑った。

「おはようございます」
「ああ」

 起きたばかりでまだ気だるい体に、ホタルの体温が心地いい。素肌から伝わる温度はオレの奥の方で溶け、また1つ幸せが増えていく。

「暖かいですね」
「そうだな」
「……ふふっ」

 ホタルがオレの胸にすりより、シーツの皺がいくらか増える。頭を撫でてやれば、ホタルは目を閉じながら話した。

「私、良かったです」
「何がだ?」
「初めての相手が、ウタカタ様で」

 昨晩の情事のことを言っているのか。少し赤くなった頬をつねりながら、今からもう1戦やるかと問えば、真っ赤になって首を左右に振った。

「そ、そういうことは夜にやるものです!」
「じゃあ、今夜もいいんだな」
「ウタカタ様……!」

 慌てるホタルの様子に笑みがこぼれる。起き上がってホタルに覆い被さるようにキスしてやれば、ホタルはまた真っ赤になった。



(朝のシーツは、幸せの香り)





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