2人が帰る場所

 嬉しい日は、天気もいい。苦手なコーヒーも今日は美味しく感じる。気がつけばカレンダーを見て、ひとりニヤニヤしてしまう私。

「今日は、早く帰る」

 出かけ際に言ったウタカタ様の一言が反芻する。風に揺れる2人の洗濯物に合わせて、思わず歌ってしまいそう。

 夕食はウタカタ様の好物で埋めつくして、ちょっと豪華なお酒を一緒に飲んで。
 夜が待ち遠しい。ここに越してきて1年、2人が一緒にいる証がどんどん増えていく。今日は2人だけの記念日。

「ただいま、ホタル」

 待ち焦がれたウタカタ様の腕に飛び込んで、

「お帰りなさい、ウタカタ様」

 毎日言うこの言葉が好き。


 私と貴方、2人が帰る場所。来年も再来年も、何年経っても変わらない約束の場所。



(なんにもいらない)(2人が揃えばいい)





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