君の砂糖加減は覚えたよ

 ウタカタ様は顔に似合わず甘いものが好き。だからコーヒーの砂糖は多めに。朝食のパンには甘い甘いイチゴジャム。頑張って作ったムニエルに、貴方は気づいてくれるかしら。

「うん、美味しい」

 慣れなかった料理も、随分と上達した。テーブルの上に並ぶお皿が、キラキラと朝日に反射する。

「ウタカタ様、朝ですよ」

 寝坊助な貴方を起こすのは一苦労。綺麗な寝顔はいつまでたっても変わらない。長い睫毛をじっと見つめて、少し照れてしまう私は、やっぱり貴方のことが好き。

「起きてください。朝ごはん、冷めちゃいますよ」

 ありきたりなやりとりも、貴方となら幸せなの。エプロンを翻して、カーテンを明けて、眩しそうにする貴方を見て笑う。

「おはようございます。ウタカタ様」

 貴方と同じ名字になって、何度も迎えた朝の光景。起きたら、いつものようにキスしてくださいね。ずっとずっと、貴方と過ごしていきたいの。



(ウタカタ様の好きなもの、もっともっと知っていきたい)





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