其れが世界の全てなら。
いつか消えてしまうのは知っていた。この世界に永遠なんてないことも。「ホタル……」
この命が尽きる時、傍にいるのはホタルが良かった。やっと振り向いてくれた幸せも、気まぐれにまたそっぽを向く。
「ウタカタ様」
何度も聞こえるのはホタルの声。こんなにもオレの中にいたなんて。気づくのが遅すぎた。
「シラナミ様と共に、一族復興を目指します。今までありがとうございました」
ホタルが幸せになれるのならそれでいい。それがオレの最後の望みだ。どうせ消えゆく世界ならば、せめてホタルには、幸せになってほしい。