香りごと抱きしめた。

 シャボンの中に甘い香り。どんな花よりも芳しい。

「ホタル」

 桃色の花唇を啄み、柔い舌を弄んだ。小さな愛の情事が淡く弾ける。

「ウタカタ様、大好きです」

 頬を染めての告白に、胸が躍る。返事は、ホタルにだけしか見せない笑顔で。

「そんなこと、知ってる」

 甘い香りを全身で抱きしめた。幸せそうな笑い声は、永久の旋律。





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