別れを歌うのは
空は青い。風は草木を揺らし、太陽は西へ傾く。時間は止まらない。ウタカタ様はいなくなってしまったというのに、世界は無邪気に時を刻み続ける。
「…………」
どうして私は生きているのだろう。どうして私は生かされたのだろう。
死を望んだのは私なのに、消えてしまったのはウタカタ様のほう。
「全然、嬉しくなんて、ないです」
貴方がいない世界に生きて、幸せを感じるはずがない。助けてくれなくて良かったのに。生きていてほしかったのに。
優しい残酷。いつかウタカタ様と見上げた空に、微かな歌声が響いた。誰が歌っているんだろう。誰でもいい、せめて歌の中では、幸せに。