海を秘めた宝玉

 露出の高い水着に眉を寄せ、着ていた着物を脱いでホタルに着せた。お陰でオレは日焼けをし、ホタルは長い着物を引きずりながら海に飛び込む。

「ホタル、それは誰の着物だと思ってるんだ」
「だから着物はいらないって、何度も言ったじゃないですか」
「それは駄目だ。女がそんな露出の高い服装をして、襲われたらどうする」

 海に浮かんだ青い着物にため息をつきながら、何年ぶりかの海に足を浸ける。こんな冷たい中に、ホタルはずっといたのか。

「いい加減冷えるぞ。そろそろ上がれ」
「もうちょっとだけ……せっかくウタカタ様も来たんだし」
「はぁ……」

 バシャバシャと飛沫を上げながら近づいてくるホタル。勝手に目がいく胸元に戸惑う。この海が貸し切りで、本当に良かった。

「きゃっ!」
「――!?」

 スローモーション。空に浮かぶ水滴に合わせて倒れ込むホタル。水に濡れて重くなった着物の袖が海に当たり大きな音を生み出す。そして触れ合う、オレとホタルの肌。

「ウタカタ様……」
「ったく。相変わらずドジだな」
「ウタカタ様の着物のせいですよ!」
「上等だ。じゃあ着物を脱いでみろ。お望みどおり襲ってやるよ」

 露わになった肩を掴んで唇に噛みついた。海に浮かぶ白い肌。それを知るのは、オレだけでいい。





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