雲のたゆたう丘

「ホタル、どこまで行くんだ」
「だってこんな広くて綺麗な丘、走らずにはいられません!」

 髪を風に靡かせて、坂を下るホタルは楽しげ。春爛漫、そんな空気を感じながら、オレもホタルを追いかけ走る。

「待てって、ホタル」
「ウタカタ様っ」
「うわっ!」

 突然止まったホタルにぶつかって、2人抱き合い坂に転がる。痛いはずなのに、なぜか楽しくて。馬鹿らしさに大笑いし、ホタルを抱きしめた。

「春って、抱き合いたくなりますね」
「冬もそんなこと言ってただろ」
「冬は切ない気持ち、春は幸せな気持ちです」

 胸元に感じるホタルの温もりは確かに幸せ。自然と上がってしまう口角は、もう戻せない。





Thanks for 一青