幸せの青い鳥は何処?
森と言うのか林と言うのか。四方に生える木々の間を走り、姿の見えない弟子を探す。方向感覚の無いくせに、思いつくがままに進みやがって。適度な間隔で鳴る舌打ちは、しばらく止まりそうにない。「ホタル!どこにいるんだ!!」
「ウタカタ様……」
耐えきれずあげた大声に、小さな返事が返ってくる。そのか細さに迷子になって泣いていたのかと、小さなため息を漏らす。
「ホタル、お前ってやつはいつもいつも……」
「ウタカタ様、見てください。ほら」
説教じみたオレの言葉を制したホタルの掌に乗っていたのは、小さな鳥。ホタルの片手にも満たない大きさで、淡い青色をいている。
「あの木の下に落ちていたんです。上に巣があるみたいなんですけど、登れなくて……」
「貸してみろ」
ホタルから受け取った小鳥をさっと巣に戻すと、嬉しそうな歓声が下から聞こえた。その笑顔に、今までホタルを探していたことだとか、いつも勝手にいなくなることだとか、そんな怒りがさっぱり消えていく。
「やっぱり、ウタカタ様はすごいです」
チルチルミチル。オレに幸運を運ぶ鳥は、ホタル自身なのかもしれない。