月と鬼ごっこ

 夜の森を駆け抜けて、大きな満月を見つけた。乾いた汗が風に吹かれて少し寒い。

「ウタカタ師匠」

 シャボン玉に包まれて眠るウタカタ様は綺麗。やっと見つけた。ウタカタ様を探す修行だとか言って、本当は昼寝をしたかっただけじゃないかしら。ゆっくり、音を立てないように近づいて、ウタカタ様の顔を見つめる。

「見つけましたよ、師匠」

 薄い唇に口づけて、私のキスで目覚めればいい。大好きな、私のお師匠様。





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