虚ろに光が宿る。

 ああ、そうか。ツルギの言っていたことは本当だったんだな。
 光に包まれるホタルを見て、唐突にそう思った。師匠は、オレを殺そうとはしていなかった。オレを、六尾アイツから救おうといていたんだな。

 またホタルに気づかされた。また気づくのが遅かった。

 何回後悔しても足りない。成長しない自分に自嘲の笑みがこぼれる。それでも、今回はまだ早いほうか。

「ありがとな、ホタル」

 もう器だなんて呼ばせない。お前は生きて、幸せになってくれ。
 気を失ったホタルを抱きしめた。大丈夫、お前ならやれるさ。禁術なんてなくても、土蜘蛛を救うことができる。

 最初で最後の口付けを、ホタルは知ることがない。虚ろな光が2人を包んだ。師匠のように、今度はオレがホタルを助けよう。

さようなら、ホタル。





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