空中での団欒

 ふわふわと浮かぶシャボン玉の中で、小さな2人の笑い声が弾ける。いつかは同じようにはしゃいでいたホタルは、静かに微笑みながらオレの隣に座っていた。

「楽しそうですね、2人とも」
「子どもは高い所が好きだからな」
「お母さん!見て!鳥がこんなに近くで飛んでるよ!!」

 目を輝かせて喜ぶシオンに、昔のホタルの姿が重なる。その隣で下をじっと見つめるボタンは、大きな目をさらに大きくさせて、太陽に照らされる森を見つめていた。

「ウタカタ様、体は大丈夫ですか?」
「平気だ。チャクラもまだあり余ってるしな」
「お父さん、抱っこ」

 唐突に、森を眺めていたボタンがくっついてきた。抱えて膝の上に乗せれば、とびっきりの笑顔を返してくる。

「あ、姉ちゃん……」
「シオちゃんも、こっちにおいで」
「…………」

 ホタル曰く、見た目も中身もそっくりだという息子も、渋い顔をしながらもホタルの腕に収まった。

「お父さん、すごいね。こんなに大きなシャボン玉作れるなんて」
「オレが大人になったらこれより大きいの作って、お父さんとお母さんを乗せてやるよ!」
「え?シオン、ボタンは?」
「もちろん姉ちゃんも!!」

 小さな2人の会話が風にのって空に響いた。今ではもう当たり前になった空中での団欒も、オレたち2人にとってはかけがえのない大切なもの。

「あ、そうだ。ウタカタ様、今日はこのまま遁兵衛の家に行きませんか?」
「じいさまのとこ?行きたい!」
「またお菓子たくさんもらっちゃお!」
「おいおい、あんまり遁兵衛に無理言うなよ」



(風来坊なシャボンの中に)(変わらない家族の幸せ)