我が家の姫君

「お父さーん!!」

 部屋いっぱいにボタンの声が響く。我が家の長女はお父さん……つまりオレのことが大好きだ。自分で言うなって?そんなこと言われても、この懐かれようは誰が見てもそう思うだろう。

「お父さん、抱っこ!」
「……勘弁してくれ。今起きたばかりなんだ」
「じゃあ、ボタンが起こしてあげる!」

 布団を無理矢理剥がされ、しがみつかれた体は起きるしかない。辺りを見渡せば、朝食の準備をしたホタルがシオンを着替えさせていた。

「……静かだった朝が恋しいな」
「ウタカタ様、おはようございます」
「おはよう、お父さん」

 しがみついたまま離れないボタンをかかえたまま朝食につく。焼魚の匂いが鼻をくすぐる中、ちゃっかり膝の上に座ったボタンが牛乳を飲んでいた。

「……ボタン。ちゃんと自分の場所で食べろ」
「やだ。ボタンはお父さんと一緒に食べるの!」
「……はぁ」

 朝からストレスが溜まる一方だ。ボタンにぶつからないようホタルから味噌汁を受け取り、オレの朝食がやっと始まる。

「ボタンはお父さんが大好きなのね」
「うん!お父さん、食べ終わったらお散歩行こうね」
「あ、姉ちゃんだけズルい!」
「おいおい……」



(幼き花に)(王者の風格)