痛いほどに、想う
草木も眠る真夜中に、腹部の痛みで飛び起きる。最近、
「ウタカタ様?どうされました?」
歯を食いしばった声に目を覚ましたのか、横で眠っていたホタルが起き上がる。心配をかけたくないのに、まともな声が出ない。そんなオレの様子に、ホタルが眉を寄せる。
「大丈夫ですか?今、どなたかお医者様を……」
「いらない」
「え?」
「ここに、いてくれ」
叫びそうになる痛みに唇を噛みながら、ホタルを掻き抱いた。傍にいれば、それだけ巻き込む危険が高くなる。それでも、離れたくはない。どんなに非難されようとも、ホタルだけは失いたくない。矛盾した感情も、この痛みの前では意味を出さない。本能のまま、ホタルの身体を腕で締めつける。
「ウタカタ様、私は、ここにいますから」
飛びそうになる思考の中で、ホタルの声が耳に届く。
「ずっと、ウタカタ様の傍にいます。だから、だから……」
ホタルがオレの着物の襟を掴み、すがりつくように額を押しつけた。そこから伝わる熱に、痛みが徐々に和らいでいく。
「独りで、抱え込まないでください。私は、どんなことがあったって、ウタカタ様から離れたりしませんから」
腕の力を緩めると、ホタルがオレの身体を抱きしめる。優しい感触、胸を突く香り。
全てを話してしまえば、今度こそホタルは逃げられない。それで、いいのだろうか。ホタルから逃げ道を奪って、無理やりにでも傍において、それでいいのだろうか。
「ホタル、」
髪を撫でて、耳元に唇を寄せる。僅かに聞こえる嗚咽に、ぎゅっと目を瞑った。ホタルはオレを想ってくれている。それが、痛いほどに伝わってくる。
「全部、聞いてくれるか」
尾獣を腹に抱えたまま、一体いつまで生きられるだろうか。そう遠くない未来、オレはホタルを失ってしまう。それでも、ホタルが望むなら。傍にいたいと思ってくれるのなら。オレは、