この身は貴方しか愛せない

 小さな泡の中に、無数の虹。貴方の息で作られるシャボン玉はとても綺麗。ずっと消えないで、浮かんでいればいいのに。

「終わりがあるからこそ、綺麗に見えるんだよ」

 シャボン玉の儚さに嘆けば、呆れたように貴方は呟く。終わりだなんて、嫌い。
 どんな出会いにも別れは付き物だなんて寂しいじゃない。

「シャボン玉は消えてしまっても、ウタカタ様は消えませんよね」
「……オレとシャボン玉は同列かよ」
「だって、なんだか似てるから」

 長いため息の後に、撫でられる頭。見上げれば滅多に見れない優しい笑顔。

「消えねぇよ。お前がそんな顔するならな」

 ああ、もう。この身は貴方しか愛せない たった一度の笑顔で、ここまで幸せになれるなんて。

「絶対。約束ですよ」
「あぁ」

 背伸びをして頬に口づければ、微かに紅に染まる貴方の顔。
 2人のシャボン玉だけは、ずっと消えませんように。





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