がらくたなんていわないで
安っぽい言葉と笑われてもいいの。私はウタカタ様が大好き。師匠としても男性としても尊敬していて、とにかく私の大好きな人。「ウタカタ様っ」
抱きつくと迷惑そうに顰められる顔。でもその後ろで、赤く染まる耳。
「こんな道の真ん中で、こんなはしたない行為をするな」
そう言いながらも、私を引き剥がしたりはしないウタカタ様。一瞬一瞬、何気ない仕草にいちいち胸がときめいて、私の心臓は持ちそうにない。
「ウタカタ様、大好きです」
「もう聞き飽きた」
「でも、私はウタカタ様が大好きだから、」
「伝えないと気がすまないってか?」
「そうです!」
笑顔で答えれば、降り注ぐ盛大な溜め息。頭を掻いて何かぶつぶつ言いながら、ちらりと横目でこちらを見られる。
「ウタカタ様、もしかして照れてますか?」
「そんなわけないだろ!いい加減なことを言うな!」
「でも頬っぺたが赤いです」
「っ〜」
手で口元を隠して顔を反らす仕草が可愛い。やっぱり私は、ウタカタ様が大好き。
「ウタカタ様」
「お、オレに近づくな!」
「嫌です。私はウタカタ様が大好きだから」
「っ、お前がいくらオレを好きでもオレは」
「ウタカタ様は、私のこと嫌いなんですか?」
「…………」
赤い顔がより一層赤く染まる。何秒か考えたあとに諦めたように項垂れて、私の耳を塞いで目を反らしながら言った。
「別に、嫌いじゃ、ない」