まるで僕らの関係性

 旅の途中、訪れた洋風の酒屋。薄赤いライトに彩られた店内に、休む間もなく漂う甘い香り。妖艶なジャズが流れる中、案内された奥の席に腰をおろす。

「今宵は甘い夜をお過ごしください」

 静かな声と共に注がれる異国の酒。その明るい色合いに、小さくホタルが歓声をあげた。

「そしてこちらは、お連れ様に」

 小さな皿に乗せられた、独特な形をした洋菓子。気のきいたバーテンダーのサービスに微笑み、ホタルとの甘い夜に期待する。

「可愛いお菓子ですね」
「異国の菓子か……不思議な形だな」
「ウタカタ様のお酒も、すごく綺麗」

 ロマンチックな雰囲気にうっとりとするホタルに、心の底から満足する。薄赤に染まる店内に、流れる異国の音楽。ホタルを口説くには、最高の場所。

「プレッツェル」
「え?」
「2度と離れない結び目。オレたちにぴったりな洋菓子だな」

 淡い色をしたホタルの唇をなぞり、そっとハート型のそれをホタルの口に運んだ。甘い今宵に、最高の洋菓子を。





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