お昼寝

 子供のように蝶を追いかけるホタルを見ながら、大きな欠伸をした。今日は本当にいい天気だ。小春日和の昼寝日和。思いきり体を伸ばしたあと、花畑に倒れ込み、ちょうどいい太陽の光に目を細める。

「ウタカタ様、またお昼寝ですか?」
「ホタルも一緒に寝るか?」
「もう。たまには起きて、一緒に遊びましょうよ!」
「嫌だな、ガキじゃあるまいし」

 ぷうっと頬を膨らませるホタルを見て笑い、細めた目をそのまま閉じる。これはいい夢が見られそうだ。そう思っていたら、頭に感じる違和感。

「……何をしてるんだ」
「ウタカタ様がかまってくれないから、ウタカタ様で遊ぼうと思って」
「発想がおかしいぞ。それに変な物を乗っけるな」
「ああ!せっかく似合っていらしたのに……」

 耳のあたりに刺された花を掴み、残念がるホタルを見る。花が似合う男などいるものか。ましてやこんな、可愛らしさをそのまま花にしたような桃色を。

「ウタカタ様の、けち」
「なんとでも言え。オレは寝る」
「あ……そんな……」
「こういうのはホタルのが似合うだろ」

 ホタルの髪に桃色の花を挿し、耳に口付けを落とした。一瞬にして赤く染まるホタルに、また笑みがこぼれる。

「ウタカタ様って、時々急に甘いですよね」
「そうか?」
「そうですよ」
「ふうん……。とりあえずおやすみ、ホタル」
「この流れで寝るんですか!?」
「その花、似合ってるぞ」
「っ……!」