朝の布団

「おはようございます、ウタカタ様」

ウタカタ様の腕の中で目覚めた朝。とても心地がいい。しばらくその温もりに浸っていたら、ウタカタ様が目を覚ます。微笑んで言葉をかければ、不思議そうに見つめる瞳。

「ウタカタ様?どうかしましたか?」
「いや……目が覚めて誰かが隣にいるなんて、初めてだったから……」

ウタカタ様の指が私の頬を撫でた。そのまま唇をなぞり、ゆっくりと息をつく。

「……こんなに温かいものだったんだな。繋がりってのは」

重なったウタカタ様の唇は震えていた。なんだか切なくなってウタカタ様にくっつけば、やんわり頭を撫でられる。

「ウタカタ様は、一緒に寝たことがないんですか?お母さんとか、お師匠様とか」
「両親は物心がつく前に死んでいるし、師匠に世話になった時は、ある程度の年だったからな」
「……そう、ですか……」
「ホタルはあるのか?」
「はい。お祖父様や遁兵衛に、よく子守唄を歌ってもらいました。あと、よく覚えてないんですけど…お母様にも、歌ってもらった気がします」
「愛されていたんだな、ホタルは」

微笑んだウタカタ様がなんだか悲しくて、思いきりしがみついた。温かいのは、私のおかげじゃない。ウタカタ様のおかげ。ウタカタ様がここにいるから、私はこんなにも満たされている。

「私は、ウタカタ様を愛しています」
「……ホタル……」
「だから、これからはずっと一緒です。毎晩一緒に寝て、毎朝隣で起きて……それから、どこへ行くのも一緒で、それで、」
「ありがとう、ホタル。お前は本当に優しいな」

また口付けられて、言葉を飲み込まれる。この気持ちごと、ウタカタ様に食べられてしまえばいい。全部全部、ウタカタ様に伝えたい。

「ホタルが愛おしくてしかたない」
「ウタカタ様」
「もうずっと離さない。ホタルはずっと、オレの傍にいるんだ」