お前の未来は俺がもらう

 昼寝をするウタカタ様のお腹を枕にして、やわからい光を見つめた。秋の匂いが濃くなった空は、太陽の陽射しも優しい。

「おい。人の腹を枕にするな」
「寝てばかりいるウタカタ様が悪いんですよ」
「どうせ枕にするなら、こっちにしろ」

 そう言って伸ばされたウタカタ様の腕。それに従うのがなんとなく癪に障って無視していたら、無理矢理体を持ち上げられて抱きしめられる。

「拗ねてんのか?」
「だっていつも、ウタカタ様はお昼寝ばかり」
「悪かった。でも、秋の涼しさは昼寝には最適で……」
「春は温かくて気持ちいいから、夏は暑くてやる気が起きないから。いつもと同じじゃないですか」

 聞き飽きた言い訳に反論すると、ウタカタ様は参ったな、というように苦笑いをした。

「悪かったよ」
「…………」
「でも、もう秋か。ホタルと出会ってから、そんなに時間が経つんだな」

 私の髪を撫でながら、遠い目をして呟くウタカタ様。なんだか上手い具合に話を逸らされた気がして口を開こうとしたら、それより先にウタカタ様が言葉を紡ぐ。

「これからもずっと一緒にいられるといいな。秋が来て冬が来て、また春が始まる。そして」

 昼寝のしすぎで、ホタルに怒られたり、な。
 無邪気な笑顔でそう言われて、出かかっていた言葉をぐっと飲み込んだ。これからも、ずっと一緒に。簡単なようで、難しいこと。

「一緒にいるんです。絶対に」
「そうだな」
「絶対に、離れません」
「ああ。だから、お前の未来はオレがもらう」

 手の甲に短くキスをされ、ウタカタ様が優しく微笑んだ。秋の陽射しの何倍も、優しい光。

「そのかわり、オレの未来はホタルのものだ」
「ウタカタ様の、未来」
「ああ。2人の願いが一緒なら、オレたちが離れることなんてないだろう」

 右手の指をゆっくりと絡ませ、額を合わせてウタカタ様が微笑む。それにつられて私も笑い、触れるだけの口付けをする。

「未来永劫、ですね」
「時間はたくさんある。ゆっくり歩いていけばいいじゃないか」
「でも、たまにはお昼寝しないで起きててくださいね」
「わかってるよ」





Thanks for 確かに恋だった