赦さない、
虚ろな意識の中、暗い洞穴のような所へ運ばれているのがわかる。体が思うように動いてくれない。逃げるのは、もう無理か。「う゛………」
地面に放り出され、無感情の瞳と目が合う。何か黒い闇を背負っているような眼差し。何人もの人間を平気で殺してきたような、冷たい眼差し。
「オレを、殺すのか」
掠れるような声だが、男にはちゃんと届いたみたいだ。口が聞けることに驚いたのか、眉が少しつり上がる。
「そうだ」
「……どうして」
「オレの計画には、お前が……六尾が必要なんだ」
ああ、また。また
「随分と自分勝手だな」
「…………」
「今すぐにでも殴ってやりてぇが、それは無理みたいだ……」
「お前……」
「オレを殺したきゃ殺せ。その計画とやらが成功するのか見てやるよ。そのかわり、」
「オレはお前を、永遠に怨み、呪い続ける」
無感情な瞳が細まった。怒っているのか蔑んでいるのか、オレには何もわからない。
「心残りがあったのか」
「…………」
「……もう言い遺すことはないな」
ぼんやりとした影が周りに集まり、印を組始める。
心残り——誰がお前なんかにあの安らぎを教えてやるか。最期の抵抗。ホタルだけは守ってみせる。
オレはお前を絶対に許しはしない。オレから
さあ、一緒に地獄へ堕ちようか。
(殺したいのならどうぞ、そのかわり、オレはお前を死んでも呪う)