貴方のところまで沈んでいきたい
この時期の水は、ちょっと冷たいかも。
裸足で湖に浸かり、これからする行為には場違いなことを考えた。足の指の間に、水が広がる。
「あんなに、上手く歩けるようになったのにな」
師匠に教わった術も、今の私には無意味なもの。
腰に水が届いたとき、ふと空を見上げた。自分は一体何なのか。それすらわからなくなってしまうほど、青く遠い空。
「ウタカタ様」
私は貴方に逢えるのでしょうか?神の教えなんて知りませんが、私は貴方なしでは生きていけないのです。
「バイバイ、ホタル」
冷たい水に全身が浸る。目を閉じた瞬間、世界が反転した。
(肉体を崩さないように沈めてね)