美しすぎる、死顔でした


 生臭い死臭が立ちこめる。匂いが濃くなると共に、嫌な予感が胸の中で膨らむ。


「師匠っ……ウタカタ様……!」


 走って、走って。見覚えのある仮面を見つけて背筋が凍る。ウタカタ様は何処へ行ってしまったの。もう何日も、捜し続けているというのに。


「返事、してください。師匠っ……」


 崩れた地面。師匠の形見を見つけて泣き崩れる。どうして?こんな終わり方、酷すぎる。


「ウタカタ様っ…………」


 ボロボロになった細い筒を、身体全体で抱きしめた。漂う異臭の中で、静かに浮かぶシャボン玉。最期にウタカタ様が、私に教えてくれたんだ。


「嫌だ…嫌だよ、逝かないで…………」


 儚く消えるシャボン玉が、あまりにも美しすぎた。ウタカタ様は、どこへ埋葬されたんだろう。どんな姿でも、貴方に逢いたかった。





(生臭い異臭の立ち込める日の、あまりにも美し過ぎた死)





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