貴方が、私が、赤く染まる
雨が降る、冷たい日だった。ウタカタ様の亡骸が見つかったのは。
濡れた木々の合間に、投げ出されるように棄てられていた。遁兵衛からの説明に怒りが込み上げる。
「ウタカタ様はっ、塵じゃありません！！」
白い花に囲まれ、青白い顔をするウタカタ様の前で、何時間も泣いた。こうして会えただけでも幸せなの。それでも、気持ちが同調してくれない。
「ウタカタ、様……」
白い花を手当たり次第にバラ撒く。途中で爪に引っかかれた手から血が流れる。赤い滴が、ウタカタ様を染めた。
「う……、いやあああ！！」
赤く染まる花弁に、涙が混じって薄く濁る。この叫びは誰にも届かない。
（貴方には高貴な白よりも、疼くように熟れる赤が似合う）