コーディアルに酔いしれて

「37度8分ですか…」

 朝から何だか様子がおかしかったウタカタ様。大丈夫だと言う体を無理矢理寝かしつけて熱を計ってみれば、このありさま。

「どこが大丈夫なんですか?こんなに熱があって」
「……悪い」

 ばつが悪そうに目を反らすウタカタ様。熱のせいでいつもより色っぽい表情に、少し戸惑いながらも看病にかかる。

「とりあえず、着替えないとですよね……」
「そ、うだな……」
「ウタカタ様、自分で着替えられますか?」

 体を起こしたウタカタ様を両手で支える。触れた肌が熱い。

「……ホタル……」
「はい」
「……手伝って、くれ」

 辛そうな表情にドキドキするなんて。自分の不謹慎さを叱咤しつつ、ウタカタ様の着物を脱がす。初めて見るウタカタ様の体に心臓がドキリと跳ねた。汗ばんだ上半身に指先が触れた瞬間、いきなり体を抱き寄せられる。

「う、ウタカタ様っ!?」

 驚いて顔を上げようとしても、大きな手で押さえられた頭は動いてくれない。普段では考えられないウタカタ様の行動に、どうしていいかわからない。

「ホタル、寒い……」
「ま、ってください。今着替えを持ってきて……」
「ホタルは温かいんだな」
「え、ちょっ……」

 強く抱きしめられて、体を撫でられて。熱い吐息が耳にかかってくらくらする。体がウタカタ様の熱に包まれて、私までおかしくなってしまいそう。

「ホタル……」
「ウタカタ、様……」
「……しばらく、このままでいていいか?」

 声も出せずに頷けば、熱い2人の体が布団の中へ消えていった。


(私まで風邪引いたら、ウタカタ様のせいですからね)