始業チャイムが鳴るまでに
※学パロ
「ウタカタせんせー!!」
やっと訪れた静かな昼休みも、こいつによって壊された。片手には、恐ろしく綺麗に包まれた弁当箱。
「お昼ご一緒させてください!」
「断る」
「あ、ひどいです」
どんなに断ったところで、結局は一緒に食べるのだから意味がないだろう。鼻歌まじりに開けられる包みに、息を飲む。
「今日こそは大成功ですよ!」
「昨日もそんなこと言ってたよな」
「今日は本当に本当です」
勢いよく開けられた弁当箱に目をつむった。が、いつものようなグロテスクな臭いはしない。
「ね、成功でしょう?」
「……見た目は、な」
差し出されるホタルの箸を無視し、手近な玉子焼きを掴んだ。甘い味が、口の中に広がる。
「おいしい……」
「本当ですか!?やった!」
「本当に葛城が作ったのか?」
「はい!昨日学校から帰ってから、ずっと練習していて」
合わせられた指先には、幾多の絆創膏。自然と進む箸に、ホタルの努力を感じる。
「1日でこんなに上手くなるなら、もっと上手くなれるだろ」
「先生……厳しすぎます」
「明日はもっと美味いのもってこいよ」
「……!はい!私、頑張りますね!!」