香中にて情死

 どうしてホタルの前ではただの男になってしまうのだろう。もっとクールに、余裕を保っていたいのに。

「ウタカタ様、くすぐったいです」

 白い肌をなぞる唇に、ホタルは身をよじって笑う。そんな仕草にすら反応してしまい、理性が崩れるのは時間の問題。

「ホタル」
「はい」
「そろそろ集中しろよ」
「んっ……」

 狭いベッドの中、ホタルの香りが充満する。その香りに埋もれながらするキスは、他のどんなことよりも気持ちがいい。

「ウタカタさ、まっ」

 耳をとおる甘い声。余裕がなくなってきた表情かおは、オレも一緒か。

「ホタル」
「ぁ……は、い」
「そろそろ新しい家族がほしくないか?」

 甘すぎる情事の果て、愛の証が生まれるのも悪くはない。小さく頷いたホタルにまたキスを落とし、甘い香りと繋がっていく。