「うりゃかた様……」
「…………」

 息がかかるほど近くにある顔。腕に巻き付く細い腕と、それに当たる柔らかな感触。そして耳元で聞こえる甘い声。

「……ホタル、もう少し離れろ」
「嫌です。ウタカタ様から離れるなんて」
「もう少しでいいんだ」
「……ウタカタ様は、私がお嫌いなのですか?」

 うるうると熱っぽい瞳で問いかけられ、理性がこれでもかというほど揺るがされる。視線が重ならないように目を逸らせば、頬にかかる息が一段と近づいた。

「私は……ウタカタ様が好きです」

 酔った弟子に手を出したなど、世間にバレれば一貫の終わり。酒に弱いホタルのこと。この告白だって本気かどうかわからない。

「ホタル、オレ以外の男の前で、絶対に酒を飲むなよ」
「どうしてですか?」
「どうしても、だ」

 不思議そうな顔をしながらも、まるで猫のように頬を擦り寄せながら甘えてくる。まったく、オレ以外の野郎だったらとっくに襲っているぞ。

「大好きです、ウタカタ様」

 ああ、師匠。これも修業なのでしょうか。