深入りしてはいけない。どんなに尽くしたところで、最後に泣くのはいつも自分。
 信じてはいけない。求めてはいけない。そうやって線を引いておけば、傷つく心配もない。オレはいつだって、独りのまま。

「ウタカタ様のシャボン玉って、本当に綺麗ですよね」

 隣で朗らかに笑う姿に、深く強く引いたはずの線が歪んでいく。
 信じなければ、裏切られることもない。求めなければ、逃げられる心配もない。それなのに――

「女はこういうのが好きだよな」
「だって、素敵じゃないですか。儚いはずのシャボン玉も、ウタカタ様が作るとこうやって手に触れることもできて」

 満たされている自分がいる。ここが自分の場所なのだと、ありもしない錯覚に陥ってしまう。
 それもこれも、全部こいつのせい。

「ウタカタ様って、本当に素敵です」

 真っすぐに、曲がることなくオレの境界線を突き破る。オレはそれに顔を歪めながら、救いを乞うように手を伸ばすんだ。