プシュケに接吻を

 ――もっと近くに、もっと傍に。この瞳に、ウタカタ様だけが映るように。

「ウタカタ様……」

 寝顔を見つめて、胸の奥がキュッと締まる。触れたい衝動を抑えて、ゆっくりと顔を近づけた。
 長い睫毛、細い眉。高い鼻に、薄い唇。整った顔に見とれて、目が離せない。震える呼吸に息をのみ、ウタカタ様の唇に触れた。

「ん……」

 柔らかい感触が重なる。何度も何度も口づけて、止まらない想いをウタカタ様に伝えた。

「ウタカタ様……」

 2人の間を結んだ銀に見とれ、薄く目を開けたウタカタ様が微笑んだ。頭を押さえられて、深い口づけが始まる。

「んうっ……」
「ん……ホタル、だいぶ気配を消せるようになったじゃねーか」
「師匠の、お陰です」
「修行の成果をこんな所で使うとは、……悪いヤツだな」

 ウタカタ様の上に跨がって、また深い口づけが始まった。息継ぎをする暇もなくて、ただウタカタ様の味に酔いしれて、それ以外は何もわからない。

「ホタル」
「んっ……」
「愛してる」
「ぁ……ん……」

 唇が離れる刹那に呟かれる言葉に、身体が熱くなる。余裕がなくなってきた腕は力なく崩れ、ウタカタ様の上に落ちる。

「どうした?まだキスしかしてないだろ?」
「ぁ……、ウタカタ、さま」
「お前が誘ったんだ。責任とれよ」

 そう言ってまた重なった唇は、もう離れることがないだろう。今宵はウタカタ様の上で溺れ、そして消えていく。