嗚呼、さらば天国。
自分の人生の儚さに自嘲の笑みがこぼれる。ウタカタ、なんて名前をつけられて、人柱力となり、ビンゴブックに載るほどの大罪人になった。これは、天国へなんていけないな。
そんな場所があるとは思えないが、唐突にそう思った。体からアイツが抜けていく感触がする。もう長くはない。
薄れゆく意識に目を閉じ、もう会えない女を想う。ホタルがいなければ、未練なんて感じなくてすんだのにな。
「ウタカタ様」
遠く聞こえた声はオレの救い。できればずっと一緒にいたかったが、それはもう無理みたいだ。ホタルには、幸せになってほしいな。オレのことなんて忘れて、……いや、たまには思い出してほしい。こんな気持ちも、ホタルが教えやがったんだから、少しは責任とれよ。
軽くなっていく体。諦めきれない心が鈍く傷む。ぼんやりとした白い世界にホタルが映り、オレを見つめていた。ホタルがオレの死を知るのはいつになるんだろう。
復讐なんて考えてなくていい。ただ、生きていてくれれば。
「ありがとう、ホタル」
手を伸ばしてホタルに触れようとした。瞬間、意識が途切れた。