バッドエンドはすぐそこに
音も、匂いも、光も、何1つ感じられない。世界は闇に染まった。もうこれ以上の不幸はないと思っていたのに。「……ウタカタ様――」
手足を縛られて、自由を奪われて、なんて私は無力なのだろう。いつだって足手まとい。私がいなければ、貴方は逃げられたのでしょうか。私がいなければ、貴方は生きていられたのでしょうか。
「…………」
尾獣を抜かれ、まるで塵のように投げ捨てられる貴方。涙すら流れない。言葉はどこへ消えてしまった?泣き叫ぶことも暴れることもしない私は、まるで人形。
「これで残る尾獣は八尾と九尾か……」
ぼんやりとした人影が呟く。どうして私は守れなかった。目の前にいたのに。ずっと傍にいたのに。師匠すら、愛しき人さえ守れない者が、一族を救うことができるのか。
「ウタカタ様……」
何も感じられない。残るのは抑えきれないほどの怒り。熱い涙が頬を伝った。返して、返して。私の、大切な人。
貴方を守りたかった。貴方とずっと一緒にいたかった。貴方が生きていればそれで良かった。壊れた理性は感情を止められない。背中が熱くなる。
「なんだ?この女、様子が……」
ウタカタ様。貴方の仇は、私がとります。
(赦さない。絶対に)