石鹸水の情欲に溺れ
全てはこの女がいけないんだ。オレは何度も忠告した。拒否した。なのに近づいてきたのはこの女。オレに惚れたところで、幸せなどあるはずもないのに。「ウタカタさ……っ!」
泡に溺れながら女は泣く。悲しいのか気持ちいいのか、どちらにしても官能的だ。バスタブに押し付けて口づけをすれば、絡めた舌から熱が伝わる。
「後悔しているんだろ?ついてこなければ良かったと」
「そんなこと、ないっ」
「こんな目にあっても、お前はまだオレのことが好きだと言うのか」
「やあっ……!」
濡 れた髪を指に絡め、隙間がないほど抱きしめる。鬱陶しいはずなのに、どうしてか愛しい。オレの名前を呼ぶその声も、生温い体温も。
「ウタカタさま……」
「ホタル」
「っ…………」
「お前が選んだんだ。後悔しても、」
「後悔なんてしません。私は、ウタカタ様が、大好きだから」
見慣れた意思の強い瞳に射貫かれ、オレの理性は崩壊する。シャボンの海に溺れて、明日が見えなくなった。
(2人で溺死するのも、悪くない)