ウタカタ恋慕
貴方は私を守ってくれた。例えそれが偶然でも、貴方がいなければ私は死んでいた。それが始まり。でもそれだけじゃない。貴方に憧れる理由、まだたくさん。
シャボンのように儚くて、風が吹けば何処かへ消えてしまいそう。
消えないように掴んでいたいけれど、私なんかじゃ触れない。しがみついて、逆に貴方を壊してしまう。
「物好きな女だ。オレに構うとは」
「ウタカタ様だから、ですよ」
もっと強くなって、貴方に認めてもらいたい。ずっと貴方の傍にいられるように。貴方が消えないよう、今度は私が守ってあげらるように。
風が吹いて、シャボン玉が遠くへ消えた。貴方の着物に触れた指先が、何故だか熱くなって――
「ウタカタ様」
「なんだ」
「…………」
こちらを見つめる隻眼に吸い込まれそうになる。どうして、貴方がいとおしい。
泣きそうなのがバレないように俯けば、貴方は黙ってここを離れる。
「ウタカ……」
「夜は冷える。風邪を引く前に帰るんだな」
ねぇ、貴方は気づいているんでしょう?私の気持ち。だったらどうして無視するの。それが貴方の答えなの?今さら突き放されても、もう遅い。だって私は、貴方のことが、
(大好きなんです。)