目を閉じたウタカタ様の顔を覗いて、指先でそっと唇をなぞってみる。柔らかい感触を覚えたそれを、自身の唇にもっていき、小さく息を吐いた。言葉にならない愛しさが、あふれてくる。

「昔は恥ずかしくてたまらなかったのに。時が経つのは早いですね」

 穏やかな虫の音に包まれて、幸せそうなウタカタ様の寝顔を見つめる。一体どんな夢を見ているんだろう。私が出てきていたらいいのに。

「大好きです、ウタカタ様」

 緩く孤を描いた唇を重ねて、薄い闇を見上げた。新月の夜の口付けは、淡く溶けていく。