「ホタル、重い」
「女の子にむかって“重い”だなんて、失礼ですよ。ウタカタ師匠」

 安眠を妨害された不満を口にすれば、ホタルはぷうっと頬を膨らませて顔をしかめた。
 寝転ぶオレの上に、体を跨ぐように乗っかるホタル。この体勢は、なんだかとてもヤバいような気がするのだが。

「師匠が寝てばかりいるから悪いんです」
「だからって上に乗るな。降りろ」
「ヤです」

 さらりと否定の返事をすれば、ホタルはオレの上に寝転がり、甘えるように頬を擦りつける。……おいおい、真昼間から何をするつもりだ。

「私も師匠と一緒にお昼寝します」
「オレの上でか」
「はい!」

 にっこりと返事をする顔が近いことに、こいつは気づいていないのか。
 呆れたようにため息をつき、青い空を見上げる。疚しい気持ちが生まれないわけではないが、これはこれで幸せだ。