静かな暗い夜。夜目が効く忍でも、薄らとしか周りを認識できない。微かな虫の音と風の音。そして、温かい呼吸。
「眠れないんですか?」
寝ていたと思っていたホタルが、腕の中で問いかける。それに短く返事をし、目を擦った。ホタルを認識しようと目を凝らすが、依然、ぼやけた輪郭が映るだけ。
「もしかして、腕、痺れちゃってます?私が腕枕なんて頼んだから……」
「いや、それは平気だ」
「じゃあ、どうして」
首を傾げたであろうホタルの唇を、手触りで探しあてる。なんだか無性にホタルが恋しくなった。過度の沈黙のせいか、この世にひとり、取り残されたような感覚。
「ちょっと考え事を、な」
「何か悩み事でも?」
「なんでもない。起こして悪かったな」
「私が勝手に起きただけですよ。――ウタカタ様」
「ん?」
頬に触れていた手を、ホタルが優しく包み込む。言葉にしなくても、ホタルには全てお見通しのようだ。余計な不安も、全部消えてしまう。
「暗闇でも、ウタカタ様の表情がわかる気がします」
「そうか」
「あったかい、優しい顔をしてる」
暗い闇の中に、ホタルの声が溶けていく。どんな光よりも、明瞭に視界を照らしてくれる、優しい音。
「眠れないんですか?」
寝ていたと思っていたホタルが、腕の中で問いかける。それに短く返事をし、目を擦った。ホタルを認識しようと目を凝らすが、依然、ぼやけた輪郭が映るだけ。
「もしかして、腕、痺れちゃってます?私が腕枕なんて頼んだから……」
「いや、それは平気だ」
「じゃあ、どうして」
首を傾げたであろうホタルの唇を、手触りで探しあてる。なんだか無性にホタルが恋しくなった。過度の沈黙のせいか、この世にひとり、取り残されたような感覚。
「ちょっと考え事を、な」
「何か悩み事でも?」
「なんでもない。起こして悪かったな」
「私が勝手に起きただけですよ。――ウタカタ様」
「ん?」
頬に触れていた手を、ホタルが優しく包み込む。言葉にしなくても、ホタルには全てお見通しのようだ。余計な不安も、全部消えてしまう。
「暗闇でも、ウタカタ様の表情がわかる気がします」
「そうか」
「あったかい、優しい顔をしてる」
暗い闇の中に、ホタルの声が溶けていく。どんな光よりも、明瞭に視界を照らしてくれる、優しい音。