普段より少し澄んだ空気を吸いながら、長い階段を駆け上がった。カランコロンと草履の音が、周囲の声に掻き消される。

「ホタル、そんなに急ぐと転ぶぞ」
「大丈夫ですよ。ウタカタ様も、早く来てください」

 並んだウタカタ様の手を取り、大きな鳥居をくぐった。新しい年の始まり。願うのは、ただひとつ。

「ウタカタ様は何をお願いしたんですか?」
「秘密だ」
「いいじゃないですか。教えてくれたって」
「こういうのは、口に出したら叶わないんだよ」

 振り返ったウタカタ様に頬を膨らましてみれば、笑いながら頭を撫でられる。願う想いが同じならいいのに。そうしたら、ずっとずっと、一緒にいられる。

「ウタカタ様、今年も大好きです」
「どうしたんだ、急に」
「えへへ。神様の前で、宣言しておこうかなって」

 今年もウタカタ様の傍で、笑っていられますように。