暗い瞳に光が宿る。泡沫の夢。そんなことは自分が1番わかっていた。とても幸せな、心地の良い夢だった。それは運命に逆らえずに命を落とした人柱への、最期の贈り物だったのかもしれない。

(そう、思っていたのに)

 どうしてオレは動いている。
 どうしてオレは息をしている。

 戸惑う頭とは反対に、体はひたすら前へと進む。

 どうせ進むのなら、あの場所へと戻りたい。けれど、それは叶わないみたいだ。

「ホタル……」

 この声は届いたのだろうか。あの時からどのくらい経ったのだろう。もしももう1度、お前に会えたとしたら、その時のオレは、本当のオレなのだうか。