「私、ウタカタ様が好きです。ずっと、ずっと、会えないときも、傍にいるときも、たとえ片方の肉体が滅びたとしても、私はずっと、ウタカタ様が好きです」

 唐突に言葉を失ったのは、頬を切る夏風が冷たかったからか、それともホタルのせいか。
 薄く空を覆う雲が、月の光を遮る。囁かれた愛の言葉は、別れの印。髪に隠れたホタルの表情かおを想像し、唇を噛む。

 腹に施された封印は、人並みの幸せさえも許してくれない。愛する女の傍にも、いることができない。

「愛しています。ウタカタ様」

 ホタル、笑わないでくれ。愛さないでくれ。オレはお前を幸せにしてやれない。近い未来に、オレはいなくなる。お前をまた、ひとりにしてしまう。

「だから、私をウタカタ様の傍に置いてください。私は、あなたを守りたい」

 心が、身体が、叫んでいる。今日ほど腹の封印を呪った日があるだろうか。重なったはずの想いにも、オレは返事をすることができない。肯定しても否定しても、結局はホタルを傷つける。残酷な、運命。

「…………勝手にしろ」

 絞り出した声を頼りに、ホタルの小さな手を握りしめる。その手が解けるのは、きっとすぐ先の未来。